第36話 施術一日目

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 さて,診察開始。というよりも,すぐに施術になりました。服は着替えなければならなかったようですが,私は準備してきていませんでした。

 黄先生は,ジャケットさえ脱げば施術できるとおっしゃいました。シャツもパンツも下着類も腕時計も付けた状態で,いよいよ施術が始まりました。

 先生は右の趾(親指と人差指の間)を指圧されます。すごい痛みが私を襲います。しかし数十秒我慢しているうちに,次第に痛みは薄れていきました。

 黄先生に痛いと告げると,そうだろうね,でも,ここを押しても耐えられるというのは,随分改善してきているということだよと教えてくださいました。私は嬉しくなるとともに思い至ったことがありました。

 それはこの痛みが,夜中に感じる,足が攣った時と全く同じものだということです。そういえば,足が攣る時は,いつも右足だったのです。黄先生に告げると,そうだろうねと返事。これは肝臓が弱っているのだと。

 この後,肝臓と脾臓との関係,西洋医学についての話など,黄先生の話は多岐にわたりました。西洋医学では原因が科学的に解明されていないことが多く,予想された原因などを用いて現象を説明するという事が行われていて,ちっとも科学的でないこと,特に脾臓のことはほとんど分かっておらず,論文を書いて儲けたいだけの医者は,脾臓の論文を書くのだということ(誰も分からないから,厳しい審査もなくて論文合格になってしまうとのこと),体の右側は肝臓,左側は脾臓が関係していることなどの話は,どれも興味深かったです。

 肝臓が悪いから取ってしまうというのは,解決にはならない。肝臓を良くしましょうということが大事ということも,黄先生は話してくださいました。

 肝臓は“移植したら終わり”じゃないという話が黄先生から出されたので,私がそこにかぶせて,適応するかどうかなど,様々な問題が出てきますよねと言うと,黄先生は頷いてくれました。アミロイドーシスは肝臓が問題なのだから,本当に納得できる話だと思いました。

第37話 驚異

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 驚いたことに,施術終了時には20年来悩まされてきた腰痛が消えていました。それを話したのですが,先生はほぼ無反応でした。そんなこともあるんだね,よかったね,という感じです。腰痛が消えることなど,先生にとってはよくあることなのだろうなと,その時思いました。

 私の命式を印刷するためのプリンタの調子が悪く(私が到着した途端に悪くなった),なかなかプリントアウトできません。

 黄先生は,私の代わりに悪くなってくれたのかもと冗談めかして言われていましたが,私は本当にそうかもしれないと思いました。プリンタの右側のゴムが動いてくれないのだというので,私も悪いのは右側だし…と思ったのでした。

 お弟子さんはその後も奮闘してくださったのですが,結果は変わりません。明日もあるので,新しくプリンタを買ってくるということになりました。

 そんなこんなで診察・施術初日は終了しました。タクシーを呼んでもらい,ホテルへ向かいます。すぐにチェックインをすませ,ジャガイモ調理を始めます。

 食後,黙々のためにスタバを探しました。ホテルは京王駅前でしたが,どうやらスタバはJR側に集中しているらしいことが分かりました。いつもは道に迷ってしまうのですが,今回は順調に見つけることができました。

 スタバで数時間黙々し,閉店時刻の午後10時になったので店を出ました。そしてホテルに向かって歩き出したのですが,驚いたことに全く疲れていません。驚き喜んで,妻にメッセージを送りました。

 ホテルに着きベッドに横になるも,全く眠くなりません。午前1時30分すぎまで,黙々の続きをしたりジャガイモを蒸かしたりして過ごしました。

 私は友人に,

「全く眠くならないのですが,明日のためにベッドに入ります」

とメッセージを送り,部屋の照明を落としました。実際に寝入ったのは,午前2時過ぎだったと思います。

第38話 八王子

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 八王子2日目,5月14日の朝が来ました。6時50分に起床しました。睡眠時間は4時間30分間で,スッキリ目覚めることができました。腰痛もありません。爽やかに目覚めた後,すぐにニンジンジュース作りにとりかかりました。

 家でスロージューサーを使って作るのと違い,小さなジューサーで作るのはけっこう大変でした。それでも無事作り終え,シャワーを浴びました。昨日からの好調が続いているおかげで,風呂場でもふらつくことがなく,安心してシャワーを浴びることができました。

 冷蔵庫で保存していたじゃがいもを食べ,その後タクシーへ。10時からの診療開始予定でしたが,30分前には到着しました。早い分にはいいのよと,奥様に優しく話しかけられました。

 そしてすぐに施術開始です。2日目ということもあり,私はリラックスして黄先生に話し続けました。自分の仕事,生まれ,妻のこと,妹のことなどなど。黄先生はその全てについて相槌を打ち,それに応じる形で様々な話をしながら施術をしてくださいました。

 にんじんジュースについて,ニンジンは茹でたらダメなのかという私の質問には,生でないと摂取できない栄養分があるからダメと,黄先生から返事をいただきました。

 体温は36度台後半は維持したいとの話で,私が37度台になったら高過ぎるのかと尋ねたところ,それでも大丈夫という返事でした。

 本当は暖かいところに住むのがいいんでしょうがと話しかけたら,北海道は部屋の中を暖かくしているから,風水的(というニュアンスだったと思います)には南国扱いだから大丈夫とのことでした。

第39話 回復

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 施術は進みます。昨日は良くなったと思われた趾のツボも,また痛みを感じました。しかしそれでも前日よりは軽い感じがしました。

 今日はそこに引き続き,右足膝の皿の内側あたりのツボも押していただきましたが,そこだけがピンポイントで痛いのには驚きました。

 施術中に右目も悪いことを話し,それも関係有るのかとうかがってみたら,もちろんそうだとのことでした。そういうことなら,体が良くなってくると,右目も改善されるかもしれない,そう思いました。

 その後,左手の小指側の縁を触り,黄先生はずいぶんいいねとおっしゃいました。

 気に関わる話をたくさんしていただいた関連で,私が子どもって,走り回りながらエネルギーを吸収してるに違いないという話をしたら同意して下さり,人生には4つの季節があり,子どもは春なんだと話してくださいました。

 元気,動き回る,怒りっぽいなど。一生でワンシーズンらしく,老齢は冬になるとのことでした。

 後頭部がぼうっと熱くなる話をしたら,黄先生はそうだろうという返事でした。前は頭頂部が熱かったはずで,だんだん後ろに移動してきているのはいい兆候だということでした。

 昨日壊れたプリンタの代わりの新品を買ってきたとのことでしたが,今度はインクづまりだとのことで,本日も命式の印刷はなし。明日までにはとおっしゃられていましたが,こちらは恐縮するばかりでした。

第40話 漲る

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 施術後,午後は,大学時代の友人と会う約束をしていました。私の病状を知り,東京に来ているのならぜひ会いたいということで,車で2時間以上もかけて駆けつけてくれました。

 私はこれまでの顛末など,様々なことを話しました。途中友人が,長時間話し続ける私を気遣ってくれましたが,全く問題はありませんでした。大学時代と同じくマシンガントークをする私に,友人は驚きを隠せないようでした。

 結局13時30分すぎから17時すぎまで話し続けました。途中会話の流れで激しく頭を左右にふる瞬間もあったのですが,なんともありませんでした。

 夜は前日と同じくスタバへ。きっちり黙々したあと,ブックオフで1時間ほど本を物色しました。結局掘り出し物は見つけられなかったのですが,本屋でも立ちくらみが起こることはありませんでした。

 5月15日,5時30分に起床。今日もスッキリです。睡眠時間は前日と同じく4時間30分間。ホテルチェックアウトのために準備をして,6時20分にチェックアウト。タクシーに乗り,黄先生のもとへ。

 先生がすぐに出てきてくださって,30分早く施術開始。前日に引き続く施術だったので,気になっていた(1日目に話を聞いた)呼吸法と玄米について質問しました。

 玄米については,炒った玄米を昆布だしに浸し,梅肉を加え,しばらく経ってから絞ってエキスを飲むようにとのことでした。私は1日目の会話(黄先生と奥様の会話)で,玄米がてっきりジャガイモ食に変わるものかと思っていたのですが,にんじんジュースの代わりでした。にんじんジュースだけだと飽きるので,交互に飲めば良いということでした。

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